守備と攻撃、概念
守備とは何か
得点をさせないことである。
具体的には、シュートを防ぐこと→シュートの精度を落とすこと→シュートを打たせないこと→シュートが打てる位置まで運ばせないこと→相手にボールを保持させないことである。つまりゴールを脅かす危険性のある選択肢を制限していくことといえる。
守備のプロセス
制限→誘導→圧縮→精度の低下→ボールの回収あるいは次の相手選手へ
制限について
ボール保持者の選択肢を危険性に基づいて制限して、秩序をもって対応しやすくする。
制限をする要素は技術(パス、運び、シュート、コントロール)方向(縦、横)リソース(認知材料、可能域)としての空間、時間である。
誘導について
ボール回収の期待値が最も高い所への方向づけ。
圧縮について
保持者のリソースを少なくしプレーの精度を低める。
基本的な守備戦術概念
守備の戦術概念は大きく二つ存在する。マンマークとゾーンである。
①マンマーク
マンマークは保持チームの選手に非保持チームの選手が1vs1で対応し、保持者への制限を行う守備である。危険性を人であるとする戦術概念である。
対応する選手が決定されているため、周囲の情報を見るといった認知のリソースを消費しにくい。
ボール保持者との関係性が希薄な選手の移動でも、対応者は移動しなければならず、移動距離は対応する選手に規定される。守備者の位置は対応している選手に準じる位置となる。
②ゾーンディフェンス
ゾーンディフェンスとは組織が連動して保持者への制限を行う守備である。危険性を人だけではなく、空間にもあるとする戦術概念である。
ゾーンディフェンスにおいて守備者は、ボール保持者の選択肢の蓋然性と危険性において位置を決めて移動する。つまり組織として守備のプロセスを行うということ。
周辺の情報について逐次更新しないといけないため、認知技術が必要となる。またチームが連動して動かないといけないため、チーム戦術の尊重が必要。
マンマークと比べ主体的と言えるのがゾーンディフェンスの特徴である。
その他の守備戦術概念
<門、チェーン>
守備者が二人以上で制限をする仮想的な線としての連携
<スライド>
ボール保持者のプレーの蓋然性と危険性に合わせて次のプレーする空間を狭めて(埋めて)いく移動。
<ボール周辺の雲行き>
制限がかかっている状態でのボール保持者の選択肢に基づいた次のプレーの蓋然性。
<プレッシング>
積極的なゾーンディフェンス。非保持側が攻勢に保持チームのプレーを制限していくこと。基本的なゾーンディフェンスと比べ、素早さ(物理的、意思決定プロセス)、行動間の連続性(切り替え、運動量)が求められる。
<段差、ディアゴナーレ>
二人以上で形成する方向づけ。斜めに位置することで一人目の守備の後のカバーが可能になる。
<リトリート>
相手の攻撃にかける時間を増やす概念
攻撃とは何か
得点をすることである。守備の逆でゴールの可能性のある選択肢を増やすことといえる。
攻撃の要素
奪取、前進、時間と空間の創出、シュート
奪取とは、相手チームのコントロール下からボールを移動させ、自チームのコントロール下に置くこと
前進とは、シュートが可能な位置までボールを移動させること
時間と空間の創出とは、シュートの可能性に現実性を与えること
代表的な攻撃戦術概念
<カウンター、ファストブレイク>
ボールを奪取した際に、相手が空けていた空間と非保持秩序が高くなる(様々な制限がかかる)までの時間を利用し攻撃する戦術概念。
<セットオフェンス、ポゼッション>
相手の非保持秩序が高まった後に、相手の秩序を利用、無秩序化し空間、時間を創出し攻撃する戦術概念。
<数的優位、オーバーロード>
ボール保持者の周辺に守備者よりも多く味方を配置し、ボール保持者のパスによる選択肢を増やし、守備者の秩序に負荷をかける戦術概念。結果として保持者周辺の空間は狭まる。
<ロングボール、キックアンドラッシュ>
ボールをできる限り少ないパスでペナルティエリア周辺に前進させる戦術概念。空間を創出することよりも時間を節約することを重視する。
その他の戦術概念については思いつき次第追加していく。
ポジショナルプレーについては別途記事を設ける。
読者の方お読みいただきありがとうございました。
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